静岡の下駄の起源は、遠く登呂遺跡の田下駄に始まり、江戸時代になって町民階級の履物として庶民の暮らしに普及しました。
明治時代に入ると、職人はその時代にあった下駄を作るようになり、下駄に漆を塗った塗下駄や、桐の柾経木(まさきょうぎ)を張った張下駄が生まれました。また、張下駄の増加にあわせて、「張屋(はりや)」という職業も成り立つようになりました。
戦後に入り、張下駄に張る素材は増えていき、柾経木張りの技術を活かして、紙布(しふ)、布、和紙、突板(つきいた)、畳(イグサ織り)、竹皮、印刷した浮世絵等さまざまな素材を張るようになりました。
素材を張り分ける「張り分け」や、型で抜いた柄を張る「型抜き」などの様々な技法があり、それぞれの技法には職人の経験や個性が活かされ、長年に亘って研究を重ねながら、現在に至っています。