焼津というと漁業の町、遠洋漁業の基地としてその名を良く知られています。しかし、この地にも永い伝統と技術に育まれた弓道具という郷土工芸品があります。
焼津弓道具の歴史は甲斐武田氏の家臣が今川時代、静岡に転居し矢師を始めたのが最初といわれています。その後、この一帯は徳川幕府の直轄地となり、幕府は平民にも弓を持たせ、時折神社などに人々を集め競いあわせ、天下の大事に備えていました。このため職人も多く集まり今日に及んでいます。
弓は武道として武士の教育として生き残り、大正・昭和にかけては学校体育としてクラブ活動により発展し、戦後一時禁止されましたが、その後各地で弓道場が復活し学生スポーツとして普及しています。
永い伝統技術に培われ製作されている焼津の弓道具は、いつまでも愛好者に大きな満足を与え続けていくことでしょう。